レミ街"THE DANCE WE DO 2015"LIVE REVIEW

 

四季の変化を表すVJと共に、照明で様々に表情を変える、造形作家、高橋政行による植物をモチーフにした巨大オブジェが舞台の中心に据えられている。今夜の中村文化小劇場は満員御礼。名古屋のチェンバー・ポップ・ユニット、レミ街のヴォーカル深谷彩に従うのは、勇壮な中学生9人のコーラス隊と、花開くようにステージを飛び交う『ダンススタジオ『AMS(アムス)』』のダンサー8人。『人形劇団パン』が主催し、ミュージカルとして見事に統制されている。

穂高亜希子『みずいろ』LIVE REVIEW

 息が止まるかと思った。1曲目「恋をした男の子」の歌い出し、アコースティック・ギターと声が、透き通る氷のナイフのように胸を突く、でも「緑」で歌われるように“全てが幻覚”だから痛みはない。柔らかな「光」が差すように熊坂るつこのアコーディオンが寄り添う。ギターからピアノへ移って「水色」を歌い出した頃に気づく。穂高亜希子の声は幼き日、故郷の草原に降る雨のように暖かい倍音だ。

Nicholas Krgovich + Deradoorian Japan Tour 2015 LIVE REVIEW


 極上のハリウッド映画でも観た気分にさせられてしまった。アメリカン・トラッドを伴奏に日本の神代の儀式、続いて能や浄瑠璃を思わせるような中東のミュージカル、最後は20世紀初頭のアメリカのラヴ・ロマンスへ。鶴舞K・Dハポンで行われたニコラス・ケルゴヴィッチとエンジェル・デラドゥーリアンの来日公演を体感した。


マラカス、ドラム・パッドも組み合わせての反復リズムから高揚感を生む。パーカッションとドラムスの2人を従えて、呪術的なファルセットで歌い上げたのは、アメリカ帰りのフォーク・シンガー、名古屋公演のゲスト・アクト、tigerMosイケダユウスケ。アコースティック・ギターの弦が切れたのを迷わず引きちぎって強引に演奏を続けたイケダは古代の荒ぶる神々のようだった。

Goat"Rhythm & Sound" REVIEW

心臓のビートに直接訴える、踊れる、徹底的に無駄を削ぎ落とされ反復するリズム。OGRE YOU ASSHOLEの12インチ「見えないルール」を聴いた時感じたことが、goatの新作でより突き詰められた形で表現されていた。

 インストでギター、ドラム、ベース、サックスという編成で、メロディー楽器を強制ミュート、ときにドラム・ソロに聴こえるほど。手数、音数自体も絞ってリズム、ビートの骨格を強調する。80年代にEP-4が行ったような音の実験と重なる。同じリズムの繰り返しが続き、気持ちいいフックとなるメロディーが鳴らされそうで鳴らされない。だからこそちょっとした瞬間のギターの煌めき、サックスの一吹きから至上の快感がもたらされる。