吉田ヨウヘイgroup INTERVIEW


海外メディアbeehype用の吉田ヨウヘイgroup(Yoshida Yohei Group)インタビュー原文です。


本作は前作と比べてサウンドの輪郭がより明確にはっきりしたというか、ピントが合ったというか、前作を思春期の思い出としたら今回は青年期、リスナーそれぞれの個人的な思い出に直接つながって、それを浄化してくれる。

歌詞だけを切り取っても素晴らしくて、でも感想を述べようとすると決して簡単には言えない。曲の構造も、様々な引き出し、バックグラウンドがあって、でも一聴あっさりと聴けるポップソングになっている。再読、再聴に耐え、後世に残る作品だ。


Q
「間違って欲しくない」とは、どんな曲ですか?


「間違って欲しくない」

A
フラれてしまったばかりの元恋人に向けて歌う、という形で書きました。ただ、こういうパーソナルなことを歌としてパブリックに出すと、いろいろな意味にとれるようになると思います。具体的にあなたが何に当たるのかは自分でも考えないようにしましたが、外向きに出すことによる効果は意識して書きました。


Q
このアルバムを通して、歌詞で何を表現していますか?

A
こういうことは自分の人生にもあったかもな、とか、この話は自分のことなんじゃないか、とか、この感情は自分だけが分かるものだ、といった受け取り方を、なるべく多くの人にしてほしいと思って書きました。パーソナルであるがゆえに、広く理解されるようなことを表現したいと思っています。

Q
これらの曲を説明お願いします。

A
「ユー・エフ・オー」

ユー・エフ・オーはシルヴィア・ストリップリンの曲のリズムや構造が面白いと思って真似しました。拍子が普通の4拍子だったり、4+4+2の10拍子に変わったりしながら、違う拍子の上でも同じフレーズを使うことでそういう変化に気づかせないところが面白いなと思いました。メロディーはずっと変わり続けるので、それと同じように自分達もメロディーを変えるようにしました。


「サバービア」

Ground Zeroがビクトル・ハラの「平和に生きる権利」をカヴァーしてるヴァージョンがあり、それに影響を受けてメインのテーマを作りました。ドラムの3拍子は最近のジャズで聴いた高速なシャッフルのパターンを使っています。


「Music,you all」

アコースティックギターのストロークを、ちょっと遠目から録音して空気感を入れる、というサウンドが好きなので、そういった音質になるように工夫した曲です。アニマルコレクティブのアコギの音が好きなので、そういう感じにしたいなと思って作りました。


Q
日本式の家で録音したのは興味深いです。

A
今回のアルバムの録音場所は、メンバーの親戚の家が空き家になっていて、大きな音をだしても大丈夫なので、そこにエンジニアの方に来てもらって録音しました。

Q
複雑なアレンジに対してメロディーは親しみやすいです。その意図は?

A
自分の感覚では、細野さん、ユーミン、くるりなどに通じるメロディーの流れが日本にはあると思っていて、メロディーについては常にそういった影響を反映したものにしたいと考えています。このタイプのメロディーは、下にどのようなアレンジがきたとしても強く響く、逆に言えば、どんなスタイルのアレンジも吸収して一定の質感のポップスに聴かせる力があると思っています。ある種のメロディーを作り続けたい、という意図は強くあるので、このように聴いていただけると嬉しいです。


Q
このアルバムを聴くと、深さ、幅の広さ、テンポのバリエーションから「悠久」という言葉が浮かびます。先日、細野晴臣のコンサートに行きましたが、彼は「小さい音で大きい音を表現すべきだ。しかし多くのミュージシャンはずっと大きな音を出す」と言いました。きっと彼はあなた方の音楽を気に入るはずです。

A
僕らはライブは結構音の大きいほうかなと思うんですが、細野さんの発言がそういうことではないことを指していて、それに僕らの音楽が当てはまるとしたら嬉しいです。
でも当てはまらないような気がします(笑)。