ゆだち INTERVIEW

ゆだちのギター、ヴォーカル三嶋佳祐さんが新作MV「 (die staadt) Norm」における文学やアートからの影響について語ってくれました(海外メディアbeehypeのレビューで引用)。

以下の内容は「作品の意味や答え」「作家のメッセージ」ではなく、あくまでインスピレーション元ということです。ゆだちの音楽を楽しむうえで、こういったことも参考になるくらいでお考えください。

ゆだち『夜の舟は白く折りたたまれて』

今作はレコーディングとミックスは全てメンバーの手によって行いました。KORGのD-3200という32トラックのMTRを使い、ほぼ全ての素材を録音しています。場所もレコーディング用のスタジオは使っておりません。メンバーの家や、普通のリハスタを使用して録音しました。そういう意味ではかなり純粋な意味で自主制作音源と言えると思います。」





タイトルはドイツ語です。これはドイツの作家ミヒャエル・エンデの『だれでもない庭』という未完の物語に出てくる都市の名前「ノルム(規格、基準などの意)」からきています(物語中ではあらゆる個性や想像力、夢をみることが人々から失われた街として描かれます)。

タイトルのカッコ内を英語にすると「(The City) Norm」となります。Cityは本来Stadtですが、Staadtという表記になっているのはフランスの作家マルグリット・デュラスの小説『ユダヤ人の家』からの影響があります。

MVを逆再生にしたのは、同じくエンデの『モモ』に出てくる〈さかさま小路〉のアイデアからひらめきました(全てが逆方向に進む道のことで、これを抜けると〈どこにもない家〉に辿り着くという章があります)。

また、歌詞の中には須賀敦子の著書である『ユルスナールの靴』が出てきたりもしていますが、そうした様々な書物から見えた連関を結んでいくようにしてこの曲は生まれました。そのままタイトルや歌詞の上で引用されているものは数冊くらいですが、もっと多くの着想元が自分なりにはあります(これはこの曲に限らず、アルバムを通してのことですが)。


アートからの影響となると、もう少し僕自身の考え方や、作品上では目視できない部分に話が接近してくるので、ひとまず文学作品からの影響というのが今回の曲に関係する話としてはわかりやすいかな、と思います。」


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